くろログ

東京さくらトラム・東武アーバンパークラインが失敗した本当の理由

東京さくらトラム東武アーバンパークラインといえば百合子誰かさんがゴリ押ししているものの全く定着しない路線愛称の代名詞として広く知られています。

これらの名称はなぜ定着しなかったのでしょうか。ダサいから?名前が長いから?

では逆にどのような路線愛称なら利用者に受け入れられるのでしょうか。

私の答えは、「基本キラキラネーム以外なんでもOK、ただし既存路線を改名するにはセンス以前に既存名ではダメな相応の理由が必要」です。

この記事では、既存路線を改名できる条件について触れたあと、路線愛称の宝庫であるJR西日本の各線区を見ていきます。

 

↓この記事を書いたきっかけ

 

 

既存路線を改名できる条件とは

既存路線に新たな名称を付するハードルは高いです。既存名を押しのけるだけの説得力がないと利用者に浸透しないからです。
そして利用者を説得する前提条件として「既存名を変えなければならない合理的な理由」が必要になります。この段階で、「別に現名称でよくない?」と思われるようでは新名称の良し悪しの判定にすら進めません

つまり、【新しい名称が定着するか否かの鍵は新名称ではなく現在の名称が握っている】のです。百合子が「やれ」と言ったから変わるものではないのです。百合子がどんなにセンスに溢れた素晴らしい愛称を思いついたとしても都電は都電ですよね?

次項では鉄道会社の命名か自然発生的な呼称かによらず、「(既存の)路線名と異なる線区名、愛称が浸透している、したケース」について具体的に分類していきます。



1.路線名と運行形態の不一致


路線延伸、他線開通や直通運転による運行系統の変化などによって現行の路線名が馴染まなくなったり、複数の路線が一体的に運行されるようになった場合です。

(例)

(旧々)東急田園都市線→(現)大井町線・(旧)田園都市線

(旧)田園都市線新玉川線→(現)田園都市線
池袋発着の東北・高崎線+α→湘南新宿ライン
国鉄三江北線・三江南線→三江線
神戸市営地下鉄西神延伸線西神線・山手線→西神・山手線
東海道線湖西線北陸線信越線・白新線羽越線奥羽線日本海縦貫線(JR貨物)


2.他路線に短距離だけ乗り入れる場合


路線Aの多くの列車が路線Bに乗り入れているときに線区AとBが併走しているとみなすケースです。路線Aの立場から見るとケース1の一種と見ることもできます。
(例、=で結ばれた駅間は正式には他路線に乗り入れている)
高崎線(東京・上野=大宮~高崎)
近鉄奈良線(難波=上本町=布施~近鉄奈良)
武蔵野線(東京・海浜幕張西船橋~府中本町)


3.路線名と線区の性格の不一致


新線開通で長距離列車を失い都市近郊路線となったり、あるいは逆に広域輸送ルートに組み込まれたことによって路線の持つ使命と路線名が乖離した場合です。多くがケース1、2も併発しており特に1とは区別も難しいことからケース1の一種と見てもよいと思います。
(例)
東北新幹線開通後の東北本線上野口→宇都宮線
(一地方のローカル線にすぎない)津軽線(青森~蟹田)・江差線(木古内以北)+海峡線→津軽海峡線
津軽海峡線(青森~蟹田)→津軽線
蟹田三厩木古内江差津軽海峡線時代も旧名称のままであり、北海道新幹線開通後は青森~蟹田間が津軽線に戻されたことからも、ローカル線の看板と北海道連絡を担う幹線の実態とのギャップが問題であったことがわかります。
宇野線本四備讃線(新線)・予讃線瀬戸大橋線


4.路線名に冠しているものがなくなるなど、現名称が著しく不適当


西鉄宮地岳線貝塚線
富山ライトレール線→富山港線
↑(株)富山ライトレールが吸収合併されたことはどうでもよく、市内電車の将来を鑑みて富山駅の北側だけが「ライトレール」を名乗ることが不適当とされたのではないでしょうか。
など

花咲線は花咲駅が由来ではないので花咲駅が消えても改称の必要性は薄いです。また駅名の場合それ自体が半ば地名と一体化してしまうことがあるため、東急の都立大学駅のように悪質な詐欺駅名となってもそのままのケースがあります。
将来留萌線が留萌に行かなくなったらどうするんでしょうか…?


5.幹線の一部とされている分岐線


分岐線の利用者が限られるためか通称はそこまで広まらないことが多い気がします。
(例)
東海道線(大垣~美濃赤坂)→美濃赤坂
営団地下鉄丸ノ内線(中野坂上方南町)→方南町支線


6.他線区と区別をつけるための呼び分け


(例)
中央線・総武線の快速・各駅停車
総武線(三鷹~千葉の各駅停車)、中央線(オレンジ色の電車)、総武線快速(東京に行くやつ)
「地下鉄」→営団銀座線
「新幹線」→東海道新幹線
複数の路線が走る地方で散見される「電車」「汽車」「JR」等の通称

 

7.著しい輸送改善によって従来のイメージを完全に払拭した場合

 

(例)

札沼線学研都市線学園都市線*1

富山港線富山ライトレール

 

8.「◯号線」など仮称感漂う路線名


東京臨海高速鉄道臨海副都心線→りんかい線
東京臨海新交通臨海線は当初から一貫して「ゆりかもめ」と呼ばれており正式名称はほとんど知られていないのでケース4や6ではないと思います。
地下鉄12号線→都営大江戸線

 

9.1~8の複合


というか複合してない事例のほうが少数派ですね。

 


新名称が根付いた路線はそれが求められていたからであり、これからも必要な線区に必要な名前を与えてやれば自ずと浸透するでしょう。

なお海外の場合何かの記念として広場や通りや国際空港の名前を偉人の名前にサクッと変えることがわりとよくあります。こんがらからないんですかね?

 

東京さくらトラム東武アーバンパークラインが普及しない理由

上記を踏まえると、「名前を変える必要がないから」の一言に尽きます。まともな名前でも浸透し得ないので「キラキラネームだから」は理由にはなりません。

 

JR西日本の路線愛称


アーバンネットワーク


JR西日本アーバンネットワーク各線へ手当たり次第に愛称をつけ旧名称はヴォルデモート並みにNGワード扱いすることで有名です。
しかし2章を踏まえるとこれは決して本社の趣味ではなく、阪急への当てこすりというだけでもなく、きちんと合理的な理由があったことがわかります。

 

また単なる言葉遊びではないため、多くの線区に愛称を付けつつも変える理由のない大阪環状線阪和線は改名していないことも重要なポイントです。



ところが…


いつしか改名の理由が忘れ去られ結果だけが残ったのか知りませんが「面白い人が面白いことをする」フェーズは終わってしまい、JR西日本は不要な路線愛称を乱造するようになってしまいます。

四国連絡ルートから外れた宇野線茶屋町以南を「宇野みなと線」にしたのはまあ擁護できます(瀬戸大橋線区間では宇野線NGワード化しているのでいまさら残った宇野線を呼び分ける必要性はそこまで大きくない)。しかし万葉まほろば線桃太郎線は何がしたいのかわかりません。しかも形だけパクっているので案内の必要性の高い桜井線や吉備線はきっちりヴォルデモート化しています。悔い改めて。

 

 

(おまけ)新路線に愛称を付ける場合



新規路線の愛称は多少攻めても受け入れられる可能性があります。既存名を押しのけるだけの説得力を持つ必要のある既存路線の新愛称と違い、新線を何と呼べばいいのか利用者もわからないからです。長すぎる名前だったとしてもライトノベルのタイトルのように日本人は適当に略称をつけてくれます。
ただし愛称がキラキラしすぎて受け入れられなかったときのためにまとも~ちょいキラレベルの名称も別途設定しておくことが望ましいです。正式名称がキラキラネームだと名称の混乱が起きる可能性があります。

具体例
多少攻めた新規路線の愛称が受け入れられた例(正式名称)
ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線
ゆいレール沖縄都市モノレール線
みなとみらい線みなとみらい線
リニモ東部丘陵線

愛称は受け入れられなかったが正式名称が浸透したため助かった例
ゆめはんなけいはんな線

正式名称までキラキラしている例(地元民ではないのでわからないが、「汽車」「電車」などと呼ばれている例もあると考えられる)
えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン

名前が長いが略称が浸透している例
つくばエクスプレス線→TX
えちごトキめき鉄道(会社名)→トキ鉄(地元民に浸透してるかは不明)

 

 

 

じゃあコレはなんでダメだったの?

国電改め「E電」

ダサすぎたんじゃないでしょうか(適当)。

 

 

 

↓かさ増しする前のやつ

 

サムネ用



https://twitter.com/HDkurobo0408/status/1540661337633988608?s=20&t=xCfIVA96s97FAgH_GV_qjg

 

 

https://twitter.com/HDkurobo0408/status/1540661337633988608?s=20&t=xCfIVA96s97FAgH_GV_qjg

*1:ただし新十津川まで学園都市線呼びしたのは謎

【備忘録】TNカプラーSP密連形フローチャート

個人的な備忘録です。持ってないものが多いので誤判定の可能性がちょっとかなりあります。

車両に取り付け済みのものを極力線路に置いたままの状態で判定するためのものなので、「ひっくり返せばすぐわかるだろ!」というツッコミはなしでお願いします。

 

 

品番の前に※がついているものは未入手のため暫定記述です。

117系以降散見される分売なし先頭TNはほとんど把握していません。

 

灰色

Q1.電気連結器の数→中見出しへ

電連なし

Q2:胴受の形は?

・四角い&縦方向の部材に小判型の凹モールド→Q3へ

・四角い&小判型凹モールドはない→JC6337

・湾曲→Q5へ

 

Q3:連結器左右に栓受が1つずつある→JC6326(6個入り0337)

↓×

Q4:床下配管・連結器左右に選択式ジャンパ栓取付穴がある→JC6348

└×→JC6338

Q5:下から見たとき、カプラー取付穴から連結器までの距離が長め*1→JC6342

└×→JC6341

 

電連1段

Q2:胴受の形は?

・四角い&縦方向の部材に小判型の凹モールド→Q3へ

・四角い&小判型凹モールドはない→Q4へ

・湾曲胴受→JC6328

 

Q3:連結器左右に栓受が1つずつある→※JC6332

└×→JC6224

Q4:下から見ると土台が長方形に近い、他製品と比較してバネがよく見える→JC6343

└×→JC6334

 

電連2段

Q2:胴受湾曲→JC6339

└×→JC6340

 

 

黒色

重要:新117系以降散見される分売なし先頭TNは把握していません

分売なしTN:117系(黒・電連1段)、201系(黒・電連1段)

 

Q1.電気連結器の数→中見出しへ

電連なし

Q2:胴受の形は?

・四角い&通常サイズ→Q3へ

・四角い&小型→Q5へ

・湾曲胴受→Q10

f:id:kurobo0408:20220219015737j:plain

Q2の胴受サイズの見分け方の参考画像。左の車両が通常サイズ、右の車両が小型カプラーを装着

※上記画像引用元→*2

 

Q3:連結器左右の栓受の数は?

・0個→※JC6322

・1個→Q4へ

・2個→JC6336

Q4:連結器本体([☒☒]←こんなやつ)の形状が長方形(=旧国用)→JC6329

└×→JC0349(6個入り0336)

 

Q5:連結器本体([☒☒]←こんなやつ)の形状が長方形(=旧国用)→Q9へ

↓×

Q6:連結器左右の栓受の数は?

・0個→Q7へ

・1個→JC6392

・2個→JC6391

Q7:床下配管・連結器左右に選択式ジャンパ栓取付穴がある→Q8へ

└×→JC6390

Q8:下から見たらカプラー格納部が矢印のような形をしている→JC6347

【矢印形状の図解:(台車側) ⇒ (連結器側)】

└×→JC6346

※Q8は非常に見分けづらい上に取り違えても実害はほぼないので割り切ってもいいかも

Q9:連結器左右に栓受が1つずつある→JC6350

└×→JC6349

 

Q10:連結器左右に栓受が1つずつある→※JC6344

↓×

Q11:下から見たとき、カプラー取付穴から連結器までの距離が長め*3→JC6327

└×→※JC6345

 

電連1段

Q2:胴受の形は?

・四角い&縦方向の部材に小判型の凹モールド→Q3へ

・四角い&小判型凹モールドはない→JC6325

・湾曲胴受→JC6321

 

Q3:連結器左右に栓受が1つずつある→※JC6330

└×→※JC6335

 

電連2段

Q2:胴受が四角い→JC6323

└×→JC6393

 

間違ってたらごめんなさい。

 

参考文献

(主に未入手品の部品構成把握のために使用)

  • TOMIX公式サイト製品情報
  • ホビーサーチ

*1:0336、0337等の一般的なTN比

*2:周防模型工房「TOMIX JC6347・JC6348を買ってみた!」URL:

http://blog.livedoor.jp/dc40_2047_2033/archives/6556015.html より引用

*3:0336、0337等の一般的なTN比

平均通過人員(輸送密度)とは何なのか

「『データで見るJR西日本2020』によると、芸備線東城ー備後落合間の2020年度の平均通過人員は9[人/日]である。よって、この区間の1日あたりの利用者数は9人である。」出典→*1

 

上の文章は正しいのでしょうか?それとも間違っているのでしょうか?

(※ただし18キッパーのような通過人員としてカウントされない客は無視します)

 

ある線区にどの程度の利用者がいるのかを表す尺度の一つに、平均通過人員というものがあります。通過人員とか輸送密度とか言われることもあります。昨今は鉄道会社が限界ローカル線の限界みを知ってもらうために積極的に公表することもありますが*2、その具体的な計算方法や意味合いが知られていないこともあるように感じます。せっかくなので復習がてらネットの片隅に書いてみました。

 

 

この記事では東京(とんきん)駅と新大阪(しんだいはん)駅を結ぶ「新幹線(あらみきせん)」の平均通過人員を求めていきます。途中各駅間の1日あたりの利用者数と駅間距離は以下のとおりです。

f:id:kurobo0408:20220214225654p:plain

架空の路線です

 

(狭義の)通過人員とは

※ここでは狭義の通過人員について述べています。登場頻度の多い(広義の)通過人員は次項の平均通過人員を指しています。本記事でも(狭義の)通過人員または駅間通過人員と明記されていない「通過人員」は「広義の通過人員=平均通過人員=輸送密度」を指します

 

狭義の通過人員とは、隣同士の2駅間の1日あたりの輸送人員を指します。駅間通過人員とも言います。その2駅で乗降する必要はなく、ただ通り過ぎるだけの人もカウントします。

上の新幹線の場合、東京ー品川間の狭義の通過人員は7000[人/日]、名古屋ー京都間の狭義の通過人員は6000[人/日]です。

 

平均通過人員とは

前項を踏まえて線区全体の平均通過人員を求めたいと思います。「各駅間の(狭義の)通過人員の平均が平均通過人員!」と言いたいところですがもう一捻りする必要があります。

各駅間はそれぞれ距離が異なるため、(狭義の)通過人員にその駅間の距離を掛けて距離の差を加味しなければ適切な評価はできません。

f:id:kurobo0408:20220214230417j:plain

この路線の平均通過人員を10001人とするのは適切なのでしょうか

この積はその駅間の「輸送人キロ(じんきろ)」と呼ばれ、その線区のすべての駅間の輸送人キロを足すと線区全体の輸送人キロになります。(人キロについての補足*3

\displaystyle{ \sum (駅間通過人員 [人/日])\times(駅間の営業キロ [km]) = 輸送人キロ [人km/日] }

 

そして最後に線区の輸送人キロから線区全体の距離を割ると、「平均通過人員」が出てきます。一度掛けた距離をまた割ることによって、距離の異なる他路線と公平な比較ができるようになります。よって計算式はこのようになります。

\displaystyle{\frac{輸送人キロ [人km/日]}{路線長 [km]} = 平均通過人員 [人/日]}

 

これを一言で表すと、「線区1kmあたりの1日の乗車人員」となります。

先ほどの新幹線について計算すると、平均通過人員は8400[人/日]です。

 

完全に二度手間ですが(狭義の)通過人員もこの式で求めることができます。

上式を見ると、計算過程で距離\displaystyle{[km]}を考慮しているにもかかわらず結果の単位にはそれが現れません。これも平均通過人員の概念を理解しづらい原因の一つかもしれません。

 

平均通過人員の求め方(別解)

平均通過人員の考え方は上述の通りですが、計算に用いる線区全体の輸送人キロの調べ方はいくつかあります。いずれもただの式変形なので本質は変わりませんが人によってはこちらの説明の方がわかりやすいかもしれません。

 

別解1 発着駅ごとの利用者数から求める

新幹線の乗降駅ごとの利用者数(と利用パターンごとの乗車距離)が下の表で表されるとします。この表から(狭義の)通過人員を出し、平均通過人員を求めることもできますが、各利用パターンごとに輸送人キロを求めてすべて足し合わせれば線区の輸送人キロが出てきます。これを線区の距離で割ることで平均通過人員を得ることができます。

f:id:kurobo0408:20220214225657p:plain

品川名古屋発着の1日あたり利用者数は100人、距離は680km

鉄道会社が発表している(きっぷの発売実績をベースとした)通過人員は概ねこれに近い考え方で算出されていると思われます。

 

別解2 平均乗車キロから求める

山手線のような都市内の路線と石勝線のような都市間輸送を担う路線では、利用者1人あたりの移動距離が大きく異なることが考えられます。この平均を平均乗車キロと言います。この数字は上の表を変形させただけなので、平均乗車キロに線区全体の利用者数をかけると線区の輸送人キロが出てきます。これも同様に上の計算式に入れることで平均通過人員が算出できます。

 

 

輸送密度とは異なるもの・関係ないもの

(各線区の)利用者数・乗車人員

路線の利用者数と輸送密度は別の指標です。同じ100人の利用者数がいたとしても、みんな一駅で降りてしまう線区と長距離乗り通す客が多い線区では収支も体感的な乗り具合も大きく異なるでしょう。

ここまで読めば冒頭の正誤問題は×が正解だとわかると思います。

乗車率・混雑率

これらは輸送量(お客さんの数)を輸送力(電車の本数、長さほか)で割ったものです。輸送密度は輸送量のみを論ずる尺度のため、車内がどれくらい混んでいるかは関係ありません。お客さんの少ないローカル線でも通学ラッシュは満員なのがその好例です。

線区の営業キロ

計算式の通り平均通過人員は線区全体の営業キロを割って距離の影響を排除しているので、路線の長短は直接通過人員に影響を与えることはありません。

ただし一般的に東北本線のような長大路線は閑散区間を含むため、「路線全体の」通過人員は閑散区間に引っ張られて伸び悩む傾向にあります。これでは各地域ごとの性質が正しく見えないので、正式な路線名称にとらわれず利用実態に合わせた「線区」に小分けして算出することが多いです。

*4画像を加工したもの。">

f:id:kurobo0408:20220215004700j:plain

中央本線JR東日本区間)の例。E電区間と辰野回り区間を別線区として集計すると輸送密度に3桁もの差が出る。引用元*5画像を加工したもの。



 

まとめ

昨今のコロナ禍を受け、社会的使命を終えている(と言われても仕方のない)ローカル線の存廃問題が急浮上しつつあります。その際、「(たとえ赤字であっても)残す価値がありそうかどうか」を大まかに示す尺度として輸送密度が使われることが多いです。

ニュースに説明なく出てくる輸送密度という数字の意味を知ることで、それらローカル線の将来についてより有意義に考えられるのではないでしょうか。

 

 

 

*1:https://www.westjr.co.jp/company/info/issue/data/pdf/data2021_08.pdf

*2:JR四国:https://www.jr-shikoku.co.jp/04_company/company/kukanheikin.pdf

JR北海道:https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/region/pdf/jyoukyou/transition.pdf

JR東日本:https://www.jreast.co.jp/rosen_avr/

*3:1 [人キロ]は「旅客1人を1キロ運ぶ輸送量」ということになります。貨物業界でも旅客1人を貨物1トンに置き換えた「トンキロ」を用います。国鉄のような客貨兼業の事業者だとまれに人キロとトンキロを単純に足した「人トン」を使うことがあります。

*4: https://www.jreast.co.jp/rosen_avr/pdf/2016-2020.pdf

*5: https://www.jreast.co.jp/rosen_avr/pdf/2016-2020.pdf

内房線・外房線の系統分離は間違いだったのか

2021年3月のダイヤ改正で、JR東日本千葉支社ではE131系が導入され、日中帯の内房線外房線は千葉近郊とローカル区間の系統分離が行われました。

今更感はありますが、この記事では現行の運転系統について簡単におさらいしたあと、系統分離の真の狙いを推測することで系統分離の是非について振り返ってみたいと思います。

 

 

1. 2021年現在の日中帯の運転系統

内房線千葉近郊

内房線の千葉近郊は君津発着の総武快速線直通列車が毎時1本、普通が毎時2本(木更津、君津行き各1本)運転されており、千葉口では概ね20分間隔で運転されています。

快速通過駅*1や木更津以遠*2では約40分のダイヤホールができますが特に救済措置はありません。

外房線千葉近郊

外房線の千葉近郊は京葉線直通列車が毎時1本と普通列車が毎時3本運転されています。

京葉線直通列車は京葉線内快速運転、外房線内各駅停車*3の上総一ノ宮発着です。上下とも蘇我駅で前述の内房線君津行き総武快速と対面接続しており、千葉駅から外房線方面への乗客にも充分*4配慮されています。

普通列車は上総一ノ宮行き、茂原行き、大網から東金線直通の成東行きが毎時1本ずつ走っています。

千葉口では内房快速→京葉快速連絡と普通列車を合わせて実質15分間隔で運転されています。

内房線外房線ローカル区間

両線のローカル区間は、内房線木更津ー外房線上総一ノ宮間を直通する普通列車が約1時間間隔で運転されています。内房線は君津で総武線直通快速に、外房線は上総一ノ宮で京葉線直通快速に対面接続しており、系統分離区間を跨ぐ利用客にある程度配慮されています。

多くの列車が新型車両(E131系)の2両編成で、ワンマン運転が行われています。

まとめるとこんな感じ。

f:id:kurobo0408:20220129230317j:plain

細かいことはWikipediaを見てください

 

2.系統分離が行われた理由

ローカル区間をワンマン化したい

ローカル区間では2両編成の新型車両の投入と同時にワンマン化が実施されました。人件費削減のためならばガラガラの線区にもテレビの付いたピカピカの新車を入れるあたりに代々木の涙ぐましい努力が感じられます。

輸送量の格差が大きい

内房線外房線の千葉近郊は現在も乗客が多く、総武線直通快速が停車する全駅が1万人以上(コロナ前)の乗降人員を抱えています。一方でローカル区間は非常に閑散としています。

需要の大きく異なる区間を列車が直通していたことで、閑散区間にガラガラの8両が走る一方千葉駅まで4両が顔を出すこともあり、輸送力の適正化が必要でした。

鎌取駅の例

21年改正では6両の東金線直通と10両の京葉線車両間合い運用を除くほとんどの千葉発着普通列車が8両編成で運転されており*5、千葉近郊もローカル区間も需要に見合った輸送力になっています。

千葉近郊の輸送障害を減らしたい

千葉以遠の各線は非常に輸送障害が多く、千葉市内で少し風が吹いていれば内房線が強風で遅れ、少しモヤがかかっていれば成田線が濃霧で遅れている…ということが日常茶飯事です。

とりわけ内外房線のローカル区間は海沿いやガケ沿いなど自然災害に弱い区間を走ることが多く、系統分離によって千葉近郊の列車の遅れの削減が見込まれます*6

 

3.系統分離の本当の狙い?

私は改正発表を見た時点ではこの変更を「可もなく不可もなし」程度にしか思っていませんでしたが、改正後しばらくしてこの施策が大成功だったと確信しました。その理由は、「千葉口の8両統一でダイヤ乱れからの回復が迅速化したから」です。

 

系統分離以前の運用

かつての内外房線にはこんな運用がありました。

内房線178M〉館山1444発→千葉3番線1644着(6両)

外房線274M〉安房鴨川1453発→千葉3番線1652着(4両)

↓連結

内房線183M〉千葉3番線1713発→木更津1751着(10両)

(2020年3月改正)

 

夕方の千葉口に平気で4両が突っ込む点もかなりクソですが、さらに大きな問題があります。もし連結するどちらかの列車が遅れたらどうなるでしょうか?

海風と野生動物と自然に溢れた区間を100km近く走ってくる列車はどちらもしばしば遅れます。併結相手が来なければ相方は待ちぼうけです。よりによって内房線用の線路が1.5本くらいしかない千葉駅で

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千葉駅の配線略図。下から順に1~10番線。右下に伸びる複線が内外房線、左上の複線が総武快速線。引用元は記事末尾に掲載。

千葉駅の内房線ホームは3・4番線、外房線ホームは5・6番線ですが、いずれも総武快速線とホームを共用しています。しかも総武快速線と房総各線は別の輸送指令が管轄しており、重要性の高い総武快速線を遅らせることは避けなければなりません。

かつての千葉指令さんは、支社の拠点駅でありながら肩身の狭い千葉駅で、遅れたり遅れなかったりしている別々の線区の列車と出区車両をうまく組み合わせ、総武快速線を邪魔しないように極力短時間で折り返させ(ようとし)ていたのです……。ムリゲーです。

 

系統分離後はどうなったか

内房線外房線の千葉口はほぼ全ての列車が4+4の8両に統一され、千葉駅内外房ホームでの分割併合は廃止されました*7

多少列車が遅れても千葉駅ではやって来た8両編成の列車をそのまま送り返すだけ、たまに来る6両は東金線に向かわせるだけになりました。系統分離で運用の差し替えも容易になり、ダイヤの柔軟性、輸送障害からの回復力は大きく改善したと言えます。

 

その他もろもろ・まとめ

総武本線でも同様の系統分離をする可能性は0ではないと思いますが、総武本線成田線は千葉口でも日中6両(※209系置換え後は中編成ワンマン運転が可能)で間に合っており要員はあまり変わらないことや系統分離に適した構造の駅がないことから可能性は低そうだなと思ってます。

もっとコンパクトな文章書けるようになりたい

 

参考文献

JR東日本千葉支社「2021年3月ダイヤ改正について」

https://www.jreast.co.jp/press/2020/chiba/20201218_c01.pdf

・配線略図の画像引用元

www.haisenryakuzu.net・千葉支社時刻表、普通列車編成両数表ほか

 

 

*1:巌根のみ

*2:君津のみ

*3:要は海浜幕張から各駅停車なのだが、なぜか終点まで頑なに快速と案内している。蘇我で電車の行先を見ると「[快速]外房線内各駅停車」とか書いてあったりする。

*4:千葉駅の放送・電光掲示板だけでなく、千葉駅到着前の総武線の車内放送でも接続の案内が徹底されている。

*5:21年改正の下りダイヤでは早朝深夜に3本だけ6両編成あり。4両編成は完全に消滅した

*6:会社側も労働組合との団体交渉でこれを理由の一つに挙げています。参考→ ttps://doro-ch●ba.org/nikkan_dc/n2016_07_12/n8216.htm

*7:労組資料: ttp://www.jreu-ch●ba.jp/library/5ae7dc3ada3b1e50464226fd/5fe4439e51b0b2a2792c9ed3.pdf

2022年3月千葉支社ダイヤ改正予想①〈京葉線編〉

こんにちは。くろぼーです。

 

17日にJR東日本千葉支社ダイヤ改正内容が発表されました。思ったこと(&ダイヤ予想)をつらつらと書いていきます。今回は京葉線編です。

 

〈公式発表内容〉

公式プレス「2022年3月ダイヤ改正について」

https://www.jreast.co.jp/press/2021/chiba/20211217_c01.pdf

  1. 朝通帯含む全時間帯の減便
  2. 朝上り通勤快速の一部(4本中2本)格下げ
  3. 朝通帯の上り特急「さざなみ」時刻変更
  4. 減便に伴う日中帯パターン変更
  5. 他営業制度の変更

 

〈朝通帯のダイヤ予想ほか〉

公式発表では、「最も運転本数の多い1時間」に関して、毎時15本→13本*1への減便を行うとしています。表現が曖昧ですが、ここではとりあえず新木場駅場面7:31からの1時間と仮定します。

通快から格下げされる各駅停車は蘇我付近の時刻を据え置いて前後のダイヤが寝かされています。21年3月改正で内外房のダイヤを刷新したので(個人的に前回改正は大成功だったと思ってます)微修正にとどめたかったのかもしれません。

なお元通快の各停は2本とも千葉みなとで追い越していた各停とほぼ同じ時刻を走ることになります。減便内容を考えれば、この各停2本が通快と統合される形で減便されると予想するのが自然だと思います。

これらを踏まえて適当に作った朝ラッシュ時間帯の予想ダイヤは以下のとおりです。

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青実線が新規運転の列車、青点線が廃止列車。橙点線は平日01運用。

朝でも京葉線を40分未満で走破していた通快が格下げされ、所要時間は両列車とも10分以上延びてしまいました。2013年改正で朝の無印快速も格下げされているので京葉各停か総武快速*2しか選択肢はありません。

また減便で空いた線路を使って東京8時10分着の特急さざなみが設定されます。新木場、八丁堀を通過して北有楽町駅鍛冶橋駐車場に直行するのが難点ですがもしかしたら5両では足りないほど人気が出るかもしれません。

朝通帯が減便になると運用数の減少も考えられます。京葉線には上図の橙線で表した601Y~700Y~801Yのように(実質回送の新習志野発着を除くと)上り1本しか走らない運用が2つあり、これらの整理を行う可能性も十分考えられます。E233系投入後も1編成だけ残る209系500番代の今後が気になります。

 

〈日中帯パターン変更について〉

京葉線の平日日中パターンは快速が約15・15・30分間隔で毎時3本走っていましたが、約30分間隔の毎時2本に減便されます。2002年12月改正(参考)への退化とも言えます。京葉線の快速は速くもなく、平日は蘇我先着の各停もある微妙な存在だったのでここが落とし所な気がしないでもないです。それより海浜幕張行きの武蔵野線を増やして

 

〈その他〉

房総特急全般の指定席が増加し、両数ごとに号車が統一されます。

  • E257系5両編成:普通車指定席1~2両→全列車3両
  • E257系10両編成:同1~5両→全列車5両
  • 255系9両編成:同1~3両→全列車4両(グリーン車除く)

まあこれは予想していた人も多そうです。千葉支社管内でも全車指定の特急が走って久しいので車両改造なしで一気に全車指定に踏み切るかなと思ってましたが、今は経過措置でしょうか。いずれにせよ自由席の車内改札の手間はバカにならないはず*3で、遠からず「「新たな着席サービス」」が来るのは間違いなさそうです。

*1:武蔵野線除く

*2:実は東京ー蘇我の所要時間は京葉各停とほぼ同じ

*3:自由席の多い通勤時間帯は車掌が4人乗っていることも